蒼い栞

過ぎ去ったすべてと僕の愛する人生に捧ぐ

冬が来るたび

冬が来るたび 散っていく葉のように 取り戻すことのできない諸々を 地面を向いて嘆くのではなく それらが自分を育てる糧となるよう 根を伸ばし 幹を重ね 枝を広げ また 新しい可能性が芽吹くのです

決意

今、新たな志を擁いた君に届くようにと 蒼天の花びらにのせて散らした想いは 履きつぶしてきた靴の数々を埋め尽くした 涙で満たした小さな躰を水面に漂わせて ゆれる瞳に燃える剣先を映し出した 遠くその声は鈍色の心に鳴り響いて 響きは爪先から宇宙の果て…

シラコバトの雛たち

だれ一人 いない保育所 凪いで夏

変わる

当たり前が当たり前でなくなったとき それは大切に変わる それは静かに大きな力に変わる

大言壮語

我々は思い知る 引き裂かれる想いを 投げ打ってきた時間を 揺さ振られるなら本望 真実など とうに無い

一つの秋

恋しくもなる 優しくもなる それも 秋 みえないものを 一つだけ 信じていこうと 胸に決めた

ファビアンへの追憶

名前もない日々でさえ 失くすことだけ考えた 夜間飛行の彼方まで 伸ばした手の彼方まで パタゴニア機の無線は呼ぶ つたない希望も添えてなお 失くすことだけ考えた その心は遠雷に似ている

懐古

幼いころのことを思い出すと こう胸の奥がキュンとする 嬉しいからでも 悲しいからでもない どんなに手を伸ばしても届くことのない あのころが眩しくて苦しいだけなんだ だけど 僕はあのころを思い出す 忘れるということは とてもとても悲しいことだと思うか…

星空の下で 遥か彼方の激動を想う ベッドの中で あの娘の幸せな未来を想う 果てしない流れから切り取られた瞬間に 確かに自分はここに在る 悠久のほとりからは一瞬の光 きっと宇宙より広大な心をみつける 切なくも愛おしい心をみつめる

手紙

大地を踏みしめ 海を聴き 風をかいで 夢を見て 君を想う

鈍色

約束は遠い日の手のひら 知りたかったのはあたたかい涙の理由 不自由な体を残して 心は前へ 動く 翔る ただ一つの鎖につながれて

ある美しさ

最果てというものが 本当にあるのなら それはどんなに 美しいものだろう 最期というものが 本当にあるのなら それはどんなに 美しいものだろう

世界

あなたが世界と呼ぶそれは あなたの知らないすべてのこと

もう少し

ありふれた人生 もし それを夢と呼ぶのなら もう少し強くなれたのに

moon river

「さよなら」のあとで

「さよなら」のあとで 泣いたあの日も大切だけど 一度は立ち止まったこの場所から 人はいつでも歩き出せる 顔を上げて 前を見て 深呼吸をしよう どこに行こうと 出発点は僕のあしもと

降りしきる春のあとで

ある日 僕は想った ほほを撫でる風 花の匂い 澄み渡る空 白い太陽 他に何が要るだろうか 心は跳ねるように鼓動する 世界は瞬きで変わっていく 降りしきる春のあとで

ひとひらの群青

それは、数えきれない哀しみのあとの ひとつの夕月夜 ふたつの約束 みっつの交響詩 それは、美しい日だまりのあとの 風になびくページ 最後の深呼吸 ひとひらの群青 ああ、そうか いま僕は、世界の息の根を止めるのだ

はじめに

きままに自作の詩や写真や絵を載せていきます. 時系列がめちゃくちゃで10年以上前のものから最近のものまで適当です. 読んでもらえると嬉しいです. 今日からです.