2016-12-11 選ばなかった言葉 詩(30〜35) 流れ星を君と探した そんな日々を ふいに思い出すからだろうか 四十億年の孤独の後で 僕は 四十億年前の光を見上げる あの日 君を前にして 選ばなかった言葉がある 今はただ この冷たさだけが ただ 愛しい
2016-12-10 紅茶とマフラー 詩(20〜25) どこか懐かしい 白い壁が立ち並ぶ街 枯れ葉を踊らせる つむじ風はもう消えた グレーのマフラー 高まる心止めないで 魔法の夜に投げたボール 明日に届く ぬるい紅茶の澄んだ色 まだ行かないで 風車は星屑を眠らせ 風を呼び起こす この次 ふたつの針が出会うのは夢の中 忘れないで 道は見えなくても そこにある
2016-11-29 真理 詩(30〜35) それは今は知らなくてもいい 知る術すらないという 禅問答のような 美しい四色定理のような 完全なるエスペラントのような 昨夜みた夢のような そうして人々は還っていく 思いもしないことを思いしるために 精一杯生き抜いた人への褒美かもしれない 深宇宙の座標軸から 最期に至る真理のこと
2016-11-21 音のない幻想曲 詩(30〜35) 秋の夜の幻想の中に触れてみる あの三日月はあたたかな記憶 それは熱量 それは奔流 それは歴史 それは研ぎすまされた空気の結晶か 同じような明日はいらない 擦り切れた言葉もいらない 眼を 本を 思考を すべてを閉じよう 静寂を一分の友としよう そうして 残ったものが詩なのだろう 短い言葉 静寂へ語る言葉 なんて素晴らしい響き 浮き上がるような気持ち 間違えそうな鼓動 秋の夜の静寂の中の私の詩