蒼い栞

過ぎ去ったすべてと僕の愛する人生に捧ぐ

2016-01-01から1年間の記事一覧

いつも心に詩集を

あふれる喜びに充ちたときにも 先の見えない苦悩のなかでも いつも心に一冊の詩集をもちたい 真鍮のアンモナイト 指先のプレアデス 偽物のシンフォニー 純白のミルクティー 荒野のガーベラ いつも心に一冊の詩集を いつか来る 決断の日のために どんなときで…

晴れのち花

もらってばかりで 何かをあげたことなんてあったろうか ひとしきり ひとりきり さよならが降る 世界には悲しいことなんて いくらでもある 今ここにある小さな幸せも世界のすべて この世界で 創っていけるのは未来

流れ星

やさしい日々を追いかけていた 明日の僕 君の瞳に映った空は 虹を待っていた 深い空に浮かぶ月と目が合えば 別世界に行けそうで 流れ星がみつからないなら 心で感じよう だなんて言ってた でも ほんとは星より君を見ていたかったんだ ほら星がひとつ流れた …

加速と瓦解

加速していく。 思考が、自転が。 瓦解していく。 記憶が、……が。 何一つ、手に入らなくとも。

月へと跳ぶ

しなやかに ゆるやかに たおやかに かろやかに 月へと跳ぶ

君へ

光も 夢も 明日も 命も 想いも 言葉も 挫折も 愛も 過去も 笑顔も 世界も すべて君のもとへ

ひとり

いつか いつか いつか わかるはず 蛍光灯のまぶしさと バスタブのまぶかさと 郵便受けのさびしさと

選ばなかった言葉

流れ星を君と探した そんな日々を ふいに思い出すからだろうか 四十億年の孤独の後で 僕は 四十億年前の光を見上げる あの日 君を前にして 選ばなかった言葉がある 今はただ この冷たさだけが ただ 愛しい

紅茶とマフラー

どこか懐かしい 白い壁が立ち並ぶ街 枯れ葉を踊らせる つむじ風はもう消えた グレーのマフラー 高まる心止めないで 魔法の夜に投げたボール 明日に届く ぬるい紅茶の澄んだ色 まだ行かないで 風車は星屑を眠らせ 風を呼び起こす この次 ふたつの針が出会うの…

だからこそ

傷ついてこそ輝く ガラス玉はあなたの心

真理

それは今は知らなくてもいい 知る術すらないという 禅問答のような 美しい四色定理のような 完全なるエスペラントのような 昨夜みた夢のような そうして人々は還っていく 思いもしないことを思いしるために 精一杯生き抜いた人への褒美かもしれない 深宇宙の…

音のない幻想曲

秋の夜の幻想の中に触れてみる あの三日月はあたたかな記憶 それは熱量 それは奔流 それは歴史 それは研ぎすまされた空気の結晶か 同じような明日はいらない 擦り切れた言葉もいらない 眼を 本を 思考を すべてを閉じよう 静寂を一分の友としよう そうして …

左の道

すべてを忘れず 進むと決めた すべてを許して 進むと決めた

右の道

すべてを忘れて 進むと決めた すべてを信じて 進むと決めた

呼吸法

生ぬるい対流のすき間から 眼を閉じて感じる一つの風 僕はそれを鼻の奥から吸い込む 深く 深く 肺胞の一つ一つの膨らみを感じながら 全身を透き通る液体が駆け巡るのを知る 空気の流れは止まり 満ち満ちた安堵に似た感情が湧く しばらくして 自身の一部を内…

夜に生きる

いつからだろう 夜の匂いが好きになったのは 排気ガスでけぶった月も 闇に溶けていく人の行方も 淀んだ風を切り裂くビームも 仲間と語り合った手探りな日々も ゆったりとした時の流れを 愛しく想う

花は生きている

花は生きている 散るまでだろうか 花は生きている 枯れ果てるまでだろうか 花は泣き濡れて 土にまみれ あるいは水底へと溺れる 堆積し あるいは沈殿し 養分となり あるいは燃料となる それでも 花は生きている すべての生命の中で 美しかったその色を 密やか…

もう一つのメルヘン

太陽と月の狭間 透明な夕焼けのぬくもりと 凜とした金星のきらめき これが見たかったのさ 昼と夜の狭間 そんなメルヘン

可能性

素晴らしい詩人になったかもしれない サラリーマンもいる プロ野球選手になったかもしれない トラックの運転手もいる 歴史的な政治家になったかもしれない 大人になれなかった赤子もいる 世界を変えるかもしれない これからの君がいる 巡り合わせか時代のう…

答え

そこに答えはない あるとすれば、 それは 君の後ろ姿

ノスタルジア

キンモクセイの夜 胸を抜ける粒子が 何度でも僕を少年に戻す からっぽの心を残して 煌めくときを溶かして 朧月の下で詩う

冬が来るたび

冬が来るたび 散っていく葉のように 取り戻すことのできない諸々を 地面を向いて嘆くのではなく それらが自分を育てる糧となるよう 根を伸ばし 幹を重ね 枝を広げ また 新しい可能性が芽吹くのです

決意

今、新たな志を擁いた君に届くようにと 蒼天の花びらにのせて散らした想いは 履きつぶしてきた靴の数々を埋め尽くした 涙で満たした小さな躰を水面に漂わせて ゆれる瞳に燃える剣先を映し出した 遠くその声は鈍色の心に鳴り響いて 響きは爪先から宇宙の果て…

シラコバトの雛たち

だれ一人 いない保育所 凪いで夏

変わる

当たり前が当たり前でなくなったとき それは大切に変わる それは静かに大きな力に変わる

大言壮語

我々は思い知る 引き裂かれる想いを 投げ打ってきた時間を 揺さ振られるなら本望 真実など とうに無い

一つの秋

恋しくもなる 優しくもなる それも 秋 みえないものを 一つだけ 信じていこうと 胸に決めた

ファビアンへの追憶

名前もない日々でさえ 失くすことだけ考えた 夜間飛行の彼方まで 伸ばした手の彼方まで パタゴニア機の無線は呼ぶ つたない希望も添えてなお 失くすことだけ考えた その心は遠雷に似ている

懐古

幼いころのことを思い出すと こう胸の奥がキュンとする 嬉しいからでも 悲しいからでもない どんなに手を伸ばしても届くことのない あのころが眩しくて苦しいだけなんだ だけど 僕はあのころを思い出す 忘れるということは とてもとても悲しいことだと思うか…

星空の下で 遥か彼方の激動を想う ベッドの中で あの娘の幸せな未来を想う 果てしない流れから切り取られた瞬間に 確かに自分はここに在る 悠久のほとりからは一瞬の光 きっと宇宙より広大な心をみつける 切なくも愛おしい心をみつめる