蒼い栞

過ぎ去ったすべてと僕の愛する人生に捧ぐ

ファビアンへの追憶

名前もない日々でさえ

失くすことだけ考えた

 

夜間飛行の彼方まで

伸ばした手の彼方まで

 

パタゴニア機の無線は呼ぶ

 

つたない希望も添えてなお

失くすことだけ考えた

 

その心は遠雷に似ている

 

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懐古

幼いころのことを思い出すと こう胸の奥がキュンとする

 

嬉しいからでも 悲しいからでもない

 

どんなに手を伸ばしても届くことのない

あのころが眩しくて苦しいだけなんだ

 

だけど 僕はあのころを思い出す

 

忘れるということは とてもとても悲しいことだと思うから

この胸の苦しさは  とてもとても大切なことだと思うから

 

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星空の下で 遥か彼方の激動を想う

ベッドの中で あの娘の幸せな未来を想う

 

果てしない流れから切り取られた瞬間に

確かに自分はここに在る

悠久のほとりからは一瞬の光

 

きっと宇宙より広大な心をみつける

切なくも愛おしい心をみつめる

 

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